資産防衛

国内不動産・田畑・海外不動産:財政破綻対策の選択肢(6)

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財政破綻対策とハイパーインフレ対策として、不動産をオススメする人もいます。

しかし、結論から言うと、私は、不動産はあまりおすすめできないと考えています(田畑は除く)。
もちろん、不動産は物件ごとに、かなり状況が異なります。以下はあくまで一般論にすぎず、あくまでケースバイケースであると考えていただけたらと思います。

(※検索エンジンから本記事に来た方は、トップページの「当サイト全体の目次」や「はじめて来た方へ~当サイトについて」、ひとつ前の記事「固定金利の借金:財政破綻対策の選択肢(5)」などもあわせてご覧いただいたほうが、スムーズに理解できると思います。)

国内不動産

 

よく「不動産はインフレに強い」と言われます。
たしかにこれは一理あるのですが、日本のような国が財政破綻した時におきる高インフレーションにもあてはまるかというと、疑問です。

破綻時には不動産価格や賃料に下落圧力がかかる

これまで述べてきたとおり、財政破綻したときは、経済恐慌が起きているはずです。

そういうとき、人々は困窮しているので、なるべく安い家賃の家に住もうとします。

大家から見ると、入居者や入居希望者から、あまり高い家賃を取れなくなります。人々が貧しくなっているのだから、仕方ありません。
オフィス用不動産についても、同じ理屈があてはまります。

このような力が働き、財政破綻時には不動産価格に下落圧力がかかります。

 

また、財政破綻時には金利が上がっています。

これにより、変動金利でお金を借りて不動産を買っている不動産オーナーが、破産したり返済に困ったりで、手持ちの不動産の投売りを始めます

しかも、経済恐慌が起きているので、不動産を売ろうとしても買い手が現れないことが増えます。

不動産は売ろうとしても、買い手が現れないことがあります。
その場合、買い手が現れるまで現金化できません。
(このリスクを、流動性リスクといいます。流動性リスク=すぐに売れるかどうかわからないリスクだと考えてください。)

そうなると、不動産価格には下落圧力がかかります。

 

さらに、日本の場合、人口減が進んでいます。
一方、不動産の供給はそうすぐには減りません。

この流れが続くと、今後は不動産がさらに余っていく可能性が高いです。

資本主義の世界では、供給が増えるか需要が減るかすると、そのモノの価格は下がる傾向があるので、不動産価格には下落圧力がかかります。
(なお、東京都心の不動産についてはまた別の理屈で動いています。ただこれも、世界全体でカネ余りが続いていることで維持されている側面があります。カネ余りの現状が逆流し始めるリスクを考えると、都心の不動産にもあまり手を出さないほうがいいと思います。)

人脈や目利き力が必要だが、普通の人には無理


こんな状況で不動産で利益を上げる場合、良い物件を探す力や人脈、そもそもそれが良い物件なのかどうかを見抜く目利き力などが必要になります。

そして、これらを手に入れるのはかなり難しいです。

まず、もし良い物件があれば、たいていは不動産屋などの業界に詳しいプロのインサイダー(業界内部者)に取られてしまいます。

株式投資などと違い、不動産の世界にインサイダー取引規制はありません。
プロの不動産屋さんに良い物件を取られてしまったあとの残りの不動産を、普通の人は見ることになります。

ですので、普通の人が良い物件にたどり着くハードルはとても高いのです。

また、不動産を目利きするとなると、大変な勉強と経験が必要になります。

このような難しい理由がある中、ローンを組んで国内不動産を買うのは、あまり得策とは思えません。
収益性を長期にわたり維持できるのかというと、「うーん・・・」と言いたくなります。

以上の理由から、国内不動産への投資はおすすめしません

それでも買いたい、あるいは事情があって買わざるをえない場合、変動金利で借りず、固定金利で借りるようにしましょう。

財政破綻のときは、金利が急激に上昇する可能性があります。そのときに変動金利だとその分返済額が急増してしまい、大変なことになるかもしれません。

すでに変動金利で借りている人は、可能なら固定金利に借り換えておくことをおすすめします。

買うべきタイミングがあるとしたら破綻後

なお、不動産を本当に買うべきタイミングがあるとしたら、財政破綻をした後になると思います。

財政破綻した時、国債価格は暴落し、金利が上がっているはずです。

これにより、変動金利でお金を借りて不動産を買っている不動産オーナーが、破産したり返済に困ったりで、手持ちの不動産の投売りをします。

こういう人たちが売りつくした後、良質な不動産を安く買うチャンスがやってきます

株でも不動産でも、長期投資の真髄は、人が苦しんで投げ売りしてるときを横目で見つつ、その投げ売りがだいたい終わり、ペンペン草も生えないような状態になるまで待つことです。

暴落して売り物がなくなったとき、そこには質の良い物件がたくさん転がっているでしょう

ここを買うのが長期投資で勝利するコツです。

気をつけてほしいのは、急激に価格が落ちているときに買ってはダメだということです。

相場格言で、「落ちるナイフはつかむな」という言葉があります。急落している資産を買ってはいけない、落ち着くまで様子を見ろという意味です。

不動産を買うとしたら、状況が落ち着いてきて、少し市況が上向いたところを見計らいましょう。

 

田畑

ソ連崩壊時、人々は飢えをなんとかしのぐため、ダーチャという畑つきの別荘で作物を作りました。

食べ物があれば、資産を失おうが、年金が削られようが、給料が遅配しようが、食いつなぐことはできます

ソ連(ロシア)でも、このダーチャのおかげで、多くの人が、餓死せずにすみました。

さらに、自分で消費する以上に作物がとれたら、他人に売ることもできます。

 

もちろん畑は、土地を買い、耕すなど手間がかかります。都市部に住む人には難しいでしょう。

地方に住んでいる人や、資金に余裕のある人は、無理のない範囲である程度の広さの畑を入手し、作物を植えておくという選択肢も考えておいていいかもしれません。

 

海外不動産

海外不動産の購入を検討する方もいるでしょう。
人口が減っている日本ではなく、人口が増えている海外の不動産に投資してみましょうという主張です。

これには、たしかに魅力的な点があるのですが、次のような問題点があります。

1.購入時の物件確認や物件管理など、いろいろ手間がかかる

日本にいながら海外不動産を買おうとすると、いろいろ面倒くさいことが生じます。

たとえば、その物件を見にいくだけで、飛行機のチケットをとり現地に行く必要があります。もしハズレ物件だったら、行くだけ無駄になります。

また、買った後も管理に手間がかかります。管理会社に任せようにも、その管理会社が信頼できるかどうかもわかりません。

2.購入できる国が限られている点

多くの国が、外国人による不動産購入を規制しています。規制の少ない国の不動産は、カネ余りを背景とした投機マネーや外国人マネーがすでに入っており、魅力的な物件が少なくなっています。

3.法律や言語、文化の壁がある

日本では当たり前の常識が、よの国だと違うということは本当によくあります。
事前に入念な調査が必要です。

4.詐欺業者や詐欺的な物件も含まれている

一見よさそうな言葉で勧誘しておき、実際にはしょうもない物件を紹介するなど、半ば詐欺的なことをする業者が散見されます。

もちろんまじめにやってる業者もあるのですが、あまり詳しくない人がそれを見抜くのは至難の技です。

 

以上の理由により、海外不動産投資のハードルはけっこう高いです。
少なくとも、一部のプロ投資家以外の人が海外不動産に手を出すのは、あまりおすすめできません。

次の記事は「日本株・投資信託:財政破綻対策の選択肢(7)」になります。ご覧いただけましたら嬉しいです。

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