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なぜアメリカの銀行に口座を作るべきなのか

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この記事では、数ある国の中からアメリカの銀行を選ぶことをおすすめする理由を書きます。

(※検索エンジンから本記事に来た方は、「はじめて来た方へ~当サイトについて」、ひとつ前の記事「いざというときに機動的に動けるよう、今やっておくべきこと」などもあわせてご覧いただいたほうが、スムーズに理解できると思います。)

アメリカという国のすごさ

外国にお金を預ける場合、預け先の国が安定しているか、破綻せず成長し続けるか、法令はきちんと守られているか、など、いろいろな点を総合的に見る必要があります。

この点、アメリカは世界一の政治力・軍事力・経済力を持つこと、比較的高い人口増加率が今後も継続すること、日本の同盟国であること、法治が行き届いていることなど、資産防衛に使う国として総合的に優れていると言えます。

以前より衰えた面もあるとはいえ、科学技術、競争力の強い企業の数、優れた大学の数など、総合的な国力はいまだにすばぬけています
このような国は、他にはありません。

 

たとえば、資産逃避先として一時期人気のあった香港は、中国というリスクを抱えています。

中国と日本の間には歴史問題をはじめ、様々な火種があります。
建前上は一国二制度と言っているものの、香港に対する中国政府の影響力は強まりつつあります。
何かの折に日本人が狙い撃ちされるリスクはあるでしょう。

アメリカ政府は世界中のおカネを流れ込ませる国家戦略を持つ

 

また、アメリカ政府が世界中のお金をアメリカに流れ込ませようと強力に後押ししているのも、アメリカをおすすめする理由のひとつです。

これは少し背景が複雑なので、多少詳しく説明します。

2010年に、外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act。略称はFATCA)という法律がアメリカで施行されました。

この法律は、アメリカ人が、アメリカ国外に隠し資産を持つことを見張ることを目的としています。

もっとわかりやすく言うと、「アメリカ人が、アメリカ国外に一定以上の金額を預金している場合、その国の銀行はアメリカ国税庁(IRS)にその明細を毎年報告せい」という法律です。

たとえば、もしゴルゴ君という名前のアメリカ人がスイスの銀行に預金していた場合、そのスイスの銀行は、アメリカ国税庁(IRS)にゴルゴ君の口座の明細を毎年報告しなければならないのです。

 

これは、アメリカ人富裕層がアメリカ国外に資産移転を行い、税逃れをしていたことが背景にあります。

アメリカ政府は、アメリカ国外への資産移転に厳しい措置をとることに決め、このような法律を作ったのです。

ちなみに、この法律は本来アメリカ人を対象にしているので、各国はこんな要求を受け入れる必要はありません。

ですが、アメリカ政府はアメリカの国力をちらつかせ、各国に「お前の国の銀行がアメリカ人の情報を持っていたら、アメリカ政府に報告せい」という要求を飲ませています。

世界一の政治力・軍事力・経済力をちらつかせながら、陰に陽にプレッシャーをかけてくるので、たいていの国は従います。

スイスのような守秘義務が固いとされていた国ですら、アメリカ政府の要求に折れました。

漫画のゴルゴ13では、依頼人がゴルゴ13にお金を支払うとき、スイスの銀行口座にお金を振り込みます。
しかし、今やスイスの銀行は裸です。顧客の情報を守ってくれません。

もし今ゴルゴ13が生きていたら、スイスの銀行は使わないでしょう。

 

とにかくこの法律は施行されました。

その結果、各国の金融機関は、アメリカ人の預金を預かる負担を避けるため、「アメリカ人はお断り」とすることが増えています。
アメリカ人にとっては若干気の毒ですが、仕方ありません。

これによってアメリカ人の資産は、基本的に、アメリカ国内に置かれる傾向が強まっています。

 

アメリカは先進国で唯一OECDの共通報告基準を導入していない

さて、このアメリカの外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)を参考にし、経済協力開発機構(OECD)という国際機関は、共通報告基準(Common Report Standard。略称CRS)という制度を、2014年に公表しました。

この共通報告基準(CRS)は、ある人が外国の金融機関にお金を預けたとき、お金を預けられた金融機関が、預けた人が実際に住んでる国の税務当局に口座の情報を共有する仕組みです。

この制度を導入した目的は、各国にちらばる預金者情報や口座の情報などを共有することで、資産隠しをしようとする人を白日のもとにさらそうというものです。

要は、「タックスヘイヴンやオフショアのプライベートバンクなど、あらゆる方法を使い資産隠しをしてきた人たちをターゲットにし、そういう人たちをあぶりだしていこう!」ということです。

共通報告基準(CRS)は、100カ国で導入が決まっています。
日本を含む先進国のほとんども、この100カ国に入っています。

これによって、現地に住んでいない外国人による口座開設が難しくなりつつあります。銀行側は余計な手間を増やしたくないので、口座を開設しようとしても渋るようになっているのです。

制度導入の目的は、租税回避先であるタックスヘイヴンを各国が協力してつぶすことなので、まぁ仕方ありません。

 

しかし、例外があります。
アメリカです
アメリカは先進国の中で唯一、この共通報告基準(CRS)を導入していません。

 

アメリカはなぜ共通報告基準を導入していないのか

では、なぜアメリカは共通報告基準(CRS)を導入していないのでしょうか。

表向きは「すでにアメリカでは外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)があるから」というのを建前にしています。

しかし、本当の理由はおそらく、アメリカ国内にある口座の情報を、他の共通報告基準(CRS)導入国に渡したくないからでしょう。

 

そもそも、今のアメリカ政府の基本的な国家戦略は、「なんとかアメリカに世界のお金を呼び込もう」というものです。

当たり前ですが、お金が入ってくるのはいいものです。

お金が自分の国に入ってくれば、そのお金を使って投資したり、いろんなことができます。
投資が進めば、雇用も増え、経済もうまくまわります。

なので、アメリカ政府は、自分の国にお金が流れ込んでくるのを歓迎します。

 

そういうわけで、アメリカ政府は、アメリカからアメリカ国外へのお金の流出を止めつつ、アメリカ国内にお金が流れこんでくる仕組みを強化しようという戦略をとっています。

 

アメリカは、軍事面でも経済面でも、あらゆる面で文句なしの世界最強国です。

その力を利用し、アメリカ政府は、アメリカ国内にある資産を守ります。

たとえば、アメリカは、自国にある金融機関の情報は他国に開示したがりません。

 

また、アメリカ国内には、デラウェア州など、事実上のタックスヘイヴンと呼べる場所があります
これもアメリカにお金を預ける魅力のひとつです。

 

これらの背景もあって、多少黒いお金だろうがなんだろうが、アメリカにお金が流れ込んでくるようになりました。

中国政府のお偉いさんたちですら、アメリカに隠し資産をおいています。

中国とアメリカはお互い仮想敵国かもしれませんが、カネの前では何でも良いのです。

中国政府のお偉いさんたちにしてみると、中国国内においておくのは危険きわまりないことです。
いつ政敵に刺され、資産を奪われるかわかりませんから。

なので彼らはアメリカに資産をおきます。
アメリカは資本主義の超大国です。敵のカネだろうがなんだろうが、カネならなんでもバクバクと受け容れます。

このアメリカのオープンさ、貪欲さは、本当にすごいなと思います。
これに加えて、ドルの基軸通貨としての立場をも上手く利用し、世界中からお金を集めています。

それとあわせて、アメリカは資産隠し先として有名な諸外国を叩きます
スイスなどはオバマ大統領にずいぶんやられました。

アメリカ国外のタックスヘイヴンなどにお金が流れてしまうことは、アメリカ政府にとっては全くメリットがないからです。

世界のお金はアメリカに集まりつつある

その結果どうなったかというと、世界のお金はアメリカに集まりつつあります
同時に、アメリカ以外の国に資産を預けるのが困難になってきました。

これは、アメリカ政府の確固たる国家戦略に基づく方針です。

この流れは、そう簡単には変わらないでしょう。

この国家戦略は、アメリカに世界のお金をかき集め、アメリカ国内に投資させ、アメリカの雇用を増やすことが目的です。

くだけた言葉で表現するならば、アメリカの本音は、

俺以外の国がカネを集めるのはNGな。アメリカ国外のタックスヘイヴンはなるべくぶっつぶす!脱税とかマネロンとか犯罪の温床だからな!何か悪いことしてるかもしれないので他の国はもっと情報よこせ。

だけど俺んとこにカネを預けるなら守ってやる。アメリカ人だろうが中国人だろうが日本人だろうが、アメリカ国内にお金を置いてくれる分には大歓迎だ!

とでも言えるでしょうか。

それゆえ、アメリカ国内にある預金は開示しないものの、アメリカ国外にアメリカ人が出す分はいちゃもんをつけて情報を開示せいと言ったりと、まるでドラえもんのジャイアンみたいな勝手な行動をとるのです。

これはまさに「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」というジャイアニズム思想に近いものです。

しかし、世の中、強いやつが勝ちます
現時点ではアメリカは世界最強国なので、誰も逆らえません。

よって、財政破綻対策として一番おすすめなのは資産をアメリカに移転することだといえます。
これはアメリカの国家戦略にも沿っています。

アメリカは、アメリカにお金を移す人に対しては非常に寛大であり、アメリカの力を使ってお金を守ってくれます。

スネ夫のように、強いものの力を利用し、その強さに守ってもらうことが賢明なのです。

 

ちなみに、日本政府もアメリカ政府にはかないません。日本はアメリカの強い影響下にある国です。
与党も野党もともにアメリカ政府の意向にとても敏感です。

日本政府は基本的に、アメリカ政府の意向に逆らえません。

財政破綻を心配する人は、日本政府よりアメリカ政府を頼ったほうが良いでしょう。

(なお、念のため書いておきますが、私は脱税を推奨していません。
あくまで、税金を正当に払ったあとの資産をどう守るかという観点で、本書の議論を進めています。
脱税は絶対にしてはいけません。税金をきちんと日本政府に支払い、その上で財政破綻対策を行ってください。)

ここからは、まず資産がある程度ある人向けに、アメリカにあるおすすめの銀行と、口座の開設方法について説明します。

次の記事は「外貨預金:ユニオンバンクの口座開設方法」になります。ご覧いただけましたら嬉しいです。

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