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雑記

香取照幸『教養としての社会保障』は社会保障に興味あるすべての人におすすめの一冊

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Amazonに私が書いたレビューを弊ブログにも転載します。

本書は、厚生労働省にて社会保障行政に長年携わった著者が、社会保障の全体像を解説した本です。

社会保障は膨大かつ複雑な制度の塊であり、全体像を理解するのはとても大変です。
そのせいか、社会保障関係の本は、内容が間違っているor堅苦しくわかりづらいorこれら両方 ということになりがちです。

しかし、本書はいずれにも該当しません。
著者は、日本の社会保障の現状を、予備知識がない読者像をおそらく想定し、そういう人が読んですんなり理解できるよう、ものすごくわかりやすく解説しています。
かといって内容は浅くありません。扱う領域は社会保障全体と広いのに、個別の論点についても、しっかりと深掘りされています。
こういう本は往々にしてわかりづらくなりがちですが、本書は論旨明快。構成や論理展開などなど、読者が読んでて躓かないような配慮が行き届いています。
一言でいうと、とても丁寧で、親切な本です。

本書でも指摘されている通り、日本は深刻な少子高齢化と政府債務の蓄積に悩まされています。
若者から高齢者まで多くの人が「もう詰んでて手遅れなのでは」と諦めてしまっています。
この状況下において、社会保障に対する不安を払拭していくのは、本書で何度も示唆されている通り、ものすごく困難なことでしょう。
持続可能性について客観的にみても、微妙です。適切な対策が今後なされていくかどうかもあやしいです。

それでも本書を読むと、
「社会保障の現状が広く理解されれば、何かが変わっていくんじゃないか。
たとえば今からでも子育て世代への支援が強化されたりして、将来の不安を持つ人が少なくなり、みんなが安心して暮らせる社会が実現するかもしれないな。」
という、ほのかな希望を抱かずにはいられません。

いい加減だったり不必要に堅苦しかったりする本が多い中、正確性とわかりやすさを両立させることに成功した本書は、本当に稀有な存在だと思います。
社会保障に興味あるすべての人におすすめの一冊です。
特にこれから社会保障を勉強しようという人にとっては、まず最初に読む定番の本になると思います。

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